これまで手掛けたテナントインテリアコーディネートの事例をご紹介いたします。
昨年2025年の2月。バレンタインデーを過ぎた頃に、長年懇意にさせていただいている協力業者さんからテナント新規出店のインテリアコーディネートのお話をいただきました。
業種は飲食店でメイドカフェとお聞きし、とてもやり応えのある嬉しい案件のご依頼でした。
みなさんご承知のとおり、メイドカフェはお店独自の世界観が命です。
お店のコンセプトがあってこそ、具体的な経営がなされます。
ご依頼主であるオーナー様がどういった世界観をお持ちなのか、それを聞き出し、忠実にイメージに沿ったデザインを起こしていく。
まさに血沸き肉躍る心地となって、具体的な打ち合わせに入る時期を今か今かと首をなが~くして待機していました。
|何をつくるにも世界観の共有は大事です
諸事情により、具体的な打ち合わせは数か月間熟成されてから、クライアント様と初顔合わせとなりました。
季節は七夕の文月、七月。
ひと昔前の札幌では、七月は初夏にあたり、気温もまだまだ真夏日にはいたらない、過ごしやすい時期のはずでした。
ところが、現在は北海道には訪れない現象の「梅雨」もあり、七月はすでに連日猛暑というのが常態化になっています💦
そんな中、紹介をしてくださった施工業者さんとクライアント様と3者で懇親も兼ねた打合せの場を設けてもらい、まずはご自身の想いや経営の意向をたっぷりとお聞きしました。
すでにクライアント様の中では、世界観も経営イメージもしっかり完成されてました。
そのイメージをご自分ではデザインに落とし込むことができないので、私にご依頼をしてくださったとのこと。
お店のロゴも、キャスト(スタッフのこと)の制服もすでに作って用意されているのには驚きました。
これは並々ならぬ情熱を注がれている……
自分の手でメイドカフェを出店するのは長年温めてきた夢だったというお話もお聞きし、改めて私も手綱を引き締めました。
軽く食事をした後、視察として3人でコンセプトカフェへ遊びに行き(初体験)、メイドカフェ・コンカフェ界隈の事情をリサーチ。
そして2週間の期限をいただいて、プラン作成に入りました。
ちなみに、この時点で入居するハコ(テナントのこと)がまだ決まっていなかったので、イメージデザインの方向性を決める目的でたたき台を出し、デザイン先行で進めることで合意。
まずはインテリアデザインの肝となるコンセプト設計から開始です。

イメージソースとなるのは、「コードギアス 反逆のルルーシュ」
2006年にTV放送された人気SFロボットアニメです。
ヨーロッパの全寮制寄宿学校を舞台にした学園を舞台とし、良家の子女がメイド俱楽部を構内で運営しているという設定です。
メイドカフェのコンセプトになります。
”格式高い” ”特別な世界” ”選ばれた者”
”清楚な” ”夢の世界”
これらがコンセプトキーワードです。

この世界観から導き出されたコンセプトに従って作成した、たたき台です。


メインカラーは、クライアント様が作成されたロゴにも使われている、淡いパープルに決定。
イメージソースである「コードギアス 反逆のルルーシュ」にも使われている色です。
店のハコ(テナント)は未定なので、デザインの方向性だけを最初に確認しました。



3Dイメージパースです。
この時点で、クライアント様からは内装デザイン・インテリアの方向性はこれで行きましょうとGOが出ました。
|いよいよハコが見つかり、デザイン最終決定
翌月の八月に、やっと入居するハコ(テナント)が見つかり、間取り・設備配置・インテリアデザインの最終決定へと進みました。
施工会社の方々とクライアント様の4者で数度の打ち合わせを重ね、協力して作成したプランで着工となります。
新しく入居するハコは、すでに前の方がスケルトン状態へ戻してくれていたので、解体撤去をせずに済みました。
この工程があるのとないのとでは、工事の手間と費用と日数からみてもかなり事情が変わってくるので大助かりです。

こちらが変更決定後のレイアウトとインテリアデザインです
専有面積45㎡ほどの、横に長い空間で、水回りの位置の兼ね合い上、カウンターテーブルをどういった向きと位置にするか苦心しました。
施工会社の方々と話し合い、だいぶイレギュラーな変形カウンターで納めることで決着。
他、消防法の絡みで部分的に壁に開口をあける必要があったりなど、変更また変更で進んでいきます。

レイアウト・デザイン変更の3Dイメージパースです。
横長の店内なので、メインの客席であるカウンターは横長に配置。
カウンター内部でキャストが自由に回遊できるよう変形U字にしました。
テーブル席エリアと撮影ステージです。
特別なスポットなので、ステージはニッチの空間を造り、上部からの間接照明とお店のロゴを設置します。

|2か月の長丁場を経て完成したメイドカフェ
工事着工から2ヵ月、丁寧にじっくりと各工程を進めてようやく完成したメイドカフェ。
イメージ通りにちゃんと仕上がるのか、最後まで内心ドキドキしていましたが、施工会社の方や各職人さん方が見事に仕上げてくださり、デザイン通りに完成することができました。









途中、内装材や細かなデザインの変更などを乗り越え、4者一丸となって作り上げた空間。
協業でひとつの空間を作る楽しさと、その醍醐味をたっぷりと経験させていただきました。
なにより嬉しかったのは、お客様だけではなくキャストであるスタッフからもとても評判がよかったことです。
お客様からは「落ち着く」「雰囲気がとてもいい」など、キャストのお嬢さん方からは「最高の職場を作ってくれてありがとう」とお礼を言われました。
こちらこそ、ありがとう……
この笑顔と喜ぶ姿があるからこそ、この仕事を頑張れるのです。
空間を作るという仕事に携わってきてよかった! またひとつそう思えた出来事でした。

cheers!
工事完了の数日後、プレオープン。
お店で打ち上げをし、労働の苦労と疲れをたっぷり労いあいました。
余談ですが…….
お店の取引先のとある方から、「北海道らしいね」と感想をいただきました。
なんのことかな? と一瞬考え、あっと思い至ったのは何だと思いますか?
それは、、、、、、
お店のメインカラーである、ラベンダーパープルのことだったのです。
意図せずとも北海道の特色を出したお店として、地元の方にも観光で訪れた方にも長く愛される場所になってほしいと心から思った次第です。
|コーディネーターの仕事仕舞い
工事は終わっても、コーディネーターの仕事はまだ続きます。
それは、一番最後まで残った、アートパネルの設置。
海外からの取り寄せだったので納品が間に合わず、プレオープンをしてからの取り付けとなりました。

寂しい飾り暖炉の上が、これでやっと主役を迎えて空間は完成しました。
額は絵の雰囲気に合うよう、額装店でオーダーメイドで作ったものです。
まだ開店前の時間にそっとお店を訪れ、絵を掛け、そして私の役目を終えました。
テナントなどの内装デザイン・コーディネートのイメージづくりの参考になれば幸いです。